古民家の再生

古民家とは?

古民家にははっきりと決まった定義はなく、一般的に「昭和25年の建築基準法の制定時に既に建てられていた伝統的建造物の住宅」、「建築後50年経過した建物」と言われることが多いです。
古民家は金物や釘に頼らない木組みの構法で建てられ、その土地の気候風土に合わせた造りになっています。

福井県においては、「在来工法(伝統的技術に配慮したもの)による木造2階建て(小屋裏3階建てを含む)」「外観は、終戦前(1945年以前)の地域の伝統的民家の意匠を基調としたもの」を”ふくいの伝統的民家”に認定し、ふるさと福井の伝統的な建物や風景を後の世代に継承していく取り組みが進められています。

古民家のおもしろさ

古民家は「広すぎる?」「寒い?」「暗い?」
たしかに、近年の高気密・高断熱な住宅と比べるとそう感じる方も多いと思います。

古民家、とくに農家住宅の間取りは「田の字型」と呼ばれます。
「ニワ(土間)」「オモテ(客間)」「ダイドコ(台所・居間)」「ナンド(納戸・寝室)」といったスペースは建具で仕切られ、冠婚葬祭などで人が集まる際は建具を外して広く使えるようにと工夫がされているのです。
軒や庇を深く造っているのは、影をつくって直射日光を避けるため。夏になると、襖や障子は見た目にも涼しく風を通しやすい「簀戸」に入れ替えます。
高温多湿の日本の気候でも、自然と共に心地よく暮らすための知恵が活きているのが古民家なのです。

古民家に足を踏み入れた時、わたしたちは ほっとするような懐かしいような気持ちになりませんか?
それはきっと、当時の職人たちの技術、ひとびとの暮らしの知恵、またその建物が持つ歴史や思い出を感じ受け取っているのだと思います。

長く住み繋ぐために

近年の様々な自然災害で、住まいの安全や防災に対する人々の意識が高まってきました。
「古民家をリノベーションしたいんだけど、地震は大丈夫かな?」とご相談いただくことも。

古民家は大きな梁や柱などの構造材でしっかりと組まれており、地震の揺れを逃がす構造です。
これを現在のライフスタイルに合わせてリノベーションするためには、建物の構造にストレスを与えないように計画する必要があります。
古民家の耐震改修には、鑑定・床下診断・耐震診断などのインスペクションが重要です。構造や状態をしっかりと把握し、適切な改修を行うことが家を長持ちさせる秘訣です。

大切な住まいを長く安全に、快適に使うために、住まいの健康にも目を向けていただけたら嬉しく思います。